プロフェッショナル10周年 岡村隆史、左官挾土(はさど)秀平と会う
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出典:左官 挾土秀平 Official Web Site - 遠笛
プロフェッショナル仕事の流儀
放送10周年スペシャル
お笑い芸人 岡村隆史 へのオファーは、
「これまで出演したプロフェッショナルたちを訪ねてみないか?」
だった。
睡眠もプライベートも削って、新たな笑いを生み出してきた岡村。
突然、心身に不調をきたして休養を余儀なくされる。
復帰するまで5カ月。
以来、どう生きるべきか、考えるようになった。
そのヒントを探す旅でもある。
左官職人 挾土 秀平(はさど しゅうへい)
岡村は、挾土に会いに向かう車中、その思いを語る。
岡村>
「もともと自分は、明るい人間でもないので、どっちかっていうなら、
陰と陽でいったら陰なんですね。
挾土さんも陰と陽でいったら、陰のような気がするんですよ。
でも、挾土さんのすごいところって、自分のいろんな気持ちであったり感情とか。
ネガティブなこととかも全部自分でコントロールできはるんですよ。
そういうのもちょっと聞いてみたい。」
臆病者でもいいじゃないか
岐阜、飛騨高山。
ここに、全国から仕事が殺到する職人がいる。
腕は一流、しかし、いつもぼやいている。
「弱ったな」。「わからんな」
43歳の若さでこう呼ばれる。カリスマ左官。
天然の土から壁を生み出す、数少ない、現代の職人。
左官職人、挾土 秀平。
その壁は大胆かつ繊細。
今、その壁に都心のクリエイターたちが注目。
都心のバーやレストランに、挾土の壁が並ぶ。
挾土は、壁を塗る前に何度も不安そうに壁を触る。
ここに、挾土を挾土たらしめている仕事の流儀がある。
職人は臆病であれ
「常に臆病な人間じゃないと、成功というのは、ないんじゃないですか。」
臆病に、臆病に、挾土は現場でそう繰り返す。
仕事が一区切りついたとき、挾土が必ず行う儀式がある。
カラオケだ。
前の仕事の良かったことも悪かったことも、洗い流して、リセットする。
岡村と挾土の対談
岡村>
「5年ぐらい前、僕もう完全に仕事ができなくなって。
そのとき、もう止めようとおもいましたから、芸能界。」
挾土>
「僕は、6年ぐらい前に自律神経がいかれちゃって、
めまいの中で3年間生きてました。」
岡村>
「それは、プレッシャーですか?」
挾土>
「そうです。そこは、たぶん同じ状態だったと思う。」
こういうときは、切り替えて休まなきゃ、とか、ちょっと別のこと考えよう、
そういうことが上手になって、僕も今、一回り強くなった。」
「僕、ほんとに難しいなって思うのは、仕事のレベルも上がっていくでしょ。
社会的な重圧もかかってくる。
すると、前のリセット方法ではダメになってくるんですよね。
リセット方法もレベルアップしていかないとまずいですよね。」
岡村>
「今、どんなリセット方法ですか?」
挾土>
「今は、文章を書くことでリセットしてる。」
挾土>
「岡村さんは、今その辺のコントロールってどうしてるんですか?」
岡村>
「そのときっていうのは、ひとりで全部やらなあかん、と思ってて、
自分ががんばらなあかんねや、がんばらなあかんねやって、思いすぎてたんですね。
自分がやったことのないお芝居とか、もっとできるはずやのにと思ったことがあって。
それで舞台をやろうとしたです。
それで、脚本とかをひとりで直してるうちに、2日経ってた。寝ずに。
立とうと思ったら、フラフラーってなって。
そこから寝れなくなった。」
岡村はこのとき、ノイズキャンセリング・ヘッドフォンをして、
角砂糖をなめながら脚本に向かっていたという。
岡村>
「そこから休むことになるんですけど。休んでる間に、
いやいや、俺ひとりのせいじゃないかも。みんなのせいにしてやろうと思って。
失敗したことも。みんなの番組、連帯責任、そう思ってもう反省しません。
反省をせずに、終わったことだから、次進もうと思うと、なんかフッと楽になった。」
挾土>
「気づいたら2日経ってたってたっていうのは、僕にはあり得ない。
僕は、どちらかというと、すごい重たい仕事ひとつもらうじゃない。
そうすると、それ、ずっと考えるのが嫌なんですよ、怖くて。
すごい嫌なの。そこに、どっかの雑誌で原稿書いてくださいってくると、
あー、分かりましたと。
それ書いてる場合じゃないのに、仕事の数を増やしちゃう癖があって。
つまり、これまた逃げで、すごい重要な仕事を考えたくないから、
こっちを考えることで、俺は逃げてないって思うようにしてる(笑)。」
岡村>
「でも、いつかは腹くくって、バッてやらなあかん訳ですよね。」
挾土>
「そうですね。まぁ、こっちをやってる間にヒントが浮かぶじゃないですか。
いくつかのキーワードが浮かんでいて、それが貯まったなって思ったら、
ヨシッ、試す、この中に絶対あると思ったら、あとはそこに入っていく。
違うことをやれば多彩なキーワードが浮かぶ、というようなことを、
知らないうちにやってるのかなぁ。」
岡村>
「やっぱり、違うとこにいますねぇ。」
まとめ
岡村さんが、体調をくずしたのは、仕事を突き詰めすぎたからということですね。
それにしても、2日間、角砂糖だけで仕事をするというのは、驚異です。
バラエティー番組で見せる姿からは想像できません。
体を壊してまで道を追い続ける、一流の表現者として生きていくことは、
創造以上に厳しいということを突き付けられた思いです。
挾土さんの、違うことをやりながらヒントを探っていくというのは、ユニークな
アプローチですね。
一見、成果から遠ざかるように見えて、そうではない。
岡村さんが、「やっぱり、違うとこにいますねぇ。」と言ったのには同感です。
挾土さんだからこそできるアプローチではないでしょうか。
挾土さんが文章を書くと言っていますが、彼のブログを見つけたのでご紹介します。
最初の番組収録、10周年の収録について書かれています。
左官 挾土秀平 Official Web Site - 遠笛
オープニングで出てくる題字は、挾土さんが壁にコテで刻み込んだものなんですね。
その制作の模様がつづられていました。