物言う株主サード・ポイントが狙う日本企業と要求のまとめ
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出典: WSJ
米アクティビスト・ファンド(物言う株主)のサード・ポイントは、これまでに
セブン&アイ、スズキ、ファナック、ソフトバンク、ソニー、IHIと多くの日本企業を
ターゲットにしてきました。
それら企業に対する要求についてまとめました。
= 目 次 =
- サード・ポイント(Third Point LLC)とは
- セブン&アイ(2016年)
- スズキ(2015年)
- ファナック(2015年)
- IHI(2014年)
- ソフトバンク(2013年)
- ソニー(2013年)
- まとめ
サード・ポイント(Third Point LLC)とは
設立 1995年
会社概要
不振に陥った企業の株式を大量に取得して改革を迫り、株価の引き上げにより利益を
狙うアクティビスト・ファンド(物言う株主)。
運用規模は約110USドル(1.3兆円)。
CEO ダニエル・S・ローブ
1983年にコロンビア大学を卒業後、投資会社のウォーバーグ・ピンカス、
ジェフリーズ、シティグループなどを渡り歩き、セルサイド/バイサイド両面の豊富な
経験を積み、サード・ポイントを設立した。
URL http://www.thirdpoint.com/
参考:アンテロープ
セブン&アイ(2016年)
ヨーカ堂の切り離し
EBITDA(利払い・税金・償却前利益)が世界的な同業他社と比較して低いと指摘。
・不振のヨーカ堂をグループから切り離して独立した企業として再建。
・セブンはコンビニエンスストア専門会社として展開。
この改革により、現在77円を予定している年間配当を「2倍程度に引き上げるべき」と
主張。
セブン&アイは、不採算店舗40店程度を閉店する方針を打ち出したが、分離までは検討
していない。
参考:ダイヤモンド・オンライン
セブンーイレブン社長人事
「鈴木会長が子息の鈴木康弘氏を将来のセブン‐イレブン社長、セブン&アイのトップ
に就ける道筋を開くといううわさも聞いている。」と世襲人事を批判。
鈴木会長が提案した社長交代人事案は取締役会で否決され、鈴木会長は辞任。
スズキ(2015年)
自社株消却
独フォルクスワーゲン(VW)との提携解消を2011年に国際仲裁裁判所へ申し立てて
いるスズキに対し、VWから買い戻す自社株を消却すべきとの見解を述べた。
参考: ロイター
2016年2月、VWがスズキへの損害賠償請求を取り下げ、スズキが和解金を支払うことで
和解が成立することになった。
参考:Yahoo!ニュース
VWから買い戻す自社株の処理はこれからとなる。
ファナック(2015年)
手元資金の株主還元
現預金を大量に持ち、無借金の超優良会社である産業用ロボット大手ファナックに
対し、「それほどの現預金があるのなら、株主に還元するべき。」と指摘。
これに対してファナック側は株主還元策を発表、同月19日にはこの発表を受けて増配が
期待できるとして株価が急騰、上場来高値をつけた。
IHI(2014年)
土地の有効活用
IHIが物件を多く保有する豊洲には2020年に開かれる東京五輪の選手村が建設される
可能性がある。
IHIが豊洲に保有する不動産価値が3500億円(約34億ドル)近くに上ると試算。
同社の「時価総額の50%以上を占める」とし、経営陣に有効活用を求めた。
2015年10月には保有株の売却が報じられた。
参考: WSJ
ソフトバンク(2013年)
純投資
2013年11月、10億ドル(約1010億円)を超える投資によりソフトバンク株を取得。
経営改善を求めない純投資とみられていた。
2015年10月には保有株の売却が報じられた。
参考:日本経済新聞
ソニー(2013年)
映画・娯楽部門の分離
テレビ部門が不調だったことから、将来的に成長が期待できる映画・娯楽部門を
切り離して企業価値を上げるよう要求。
ソニー経営陣はこの要求には応じていない。
事業分離は実現しなかったが、2014年には高値で売り抜けて、20%近いリターンを得た
ことを明らかにした。
参考:ライブドアニュース
まとめ
サード・ポイントの手法については、
「お人好しの日本企業を狙い撃ちにしている」という辛辣な見方がある一方、
「サード・ポイントは株式を買って株価をつり上げる単純なやり方ではなく、企業価値
が上がる方法を提案しており、ある意味で正論を主張している。」
との見方もあるようです。
スズキ、セブン&アイの今後の動向が気になるところです。