物言う株主サード・ポイントが狙う日本企業と要求のまとめ



スポンサーリンク







スポンサーリンク



f:id:jetkaichou:20160408175727p:plain

出典: WSJ

 

米アクティビスト・ファンド(物言う株主)のサード・ポイントは、これまでに

セブン&アイ、スズキ、ファナックソフトバンクソニーIHIと多くの日本企業を

ターゲットにしてきました。

それら企業に対する要求についてまとめました。

 

 = 目 次 = 

 

サード・ポイント(Third Point LLC)とは 

設立 1995年

 

会社概要

不振に陥った企業の株式を大量に取得して改革を迫り、株価の引き上げにより利益を

狙うアクティビスト・ファンド(物言う株主)。

運用規模は約110USドル(1.3兆円)。

 

CEO ダニエル・S・ローブ

1983年にコロンビア大学を卒業後、投資会社のウォーバーグ・ピンカス、

ジェフリーズ、シティグループなどを渡り歩き、セルサイド/バイサイド両面の豊富な

経験を積み、サード・ポイントを設立した。 

 

URL http://www.thirdpoint.com/ 

参考:アンテロープ

 

 セブン&アイ(2016年)

ヨーカ堂の切り離し

EBITDA(利払い・税金・償却前利益)が世界的な同業他社と比較して低いと指摘。

・不振のヨーカ堂をグループから切り離して独立した企業として再建。

・セブンはコンビニエンスストア専門会社として展開。

この改革により、現在77円を予定している年間配当を「2倍程度に引き上げるべき」と

主張。

セブン&アイは、不採算店舗40店程度を閉店する方針を打ち出したが、分離までは検討

していない。

参考:ダイヤモンド・オンライン

 

セブンーイレブン社長人事

「鈴木会長が子息の鈴木康弘氏を将来のセブン‐イレブン社長、セブン&アイのトップ

に就ける道筋を開くといううわさも聞いている。」と世襲人事を批判。

鈴木会長が提案した社長交代人事案は取締役会で否決され、鈴木会長は辞任。

参考:WEDGE Infinity(ウェッジ)

 

スズキ(2015年)

自社株消却

フォルクスワーゲン(VW)との提携解消を2011年に国際仲裁裁判所へ申し立てて

いるスズキに対し、VWから買い戻す自社株を消却すべきとの見解を述べた。

参考: ロイター

2016年2月、VWがスズキへの損害賠償請求を取り下げ、スズキが和解金を支払うことで

和解が成立することになった。

参考:Yahoo!ニュース

VWから買い戻す自社株の処理はこれからとなる。

 

ファナック(2015年)

手元資金の株主還元

現預金を大量に持ち、無借金の超優良会社である産業用ロボット大手ファナック

対し、「それほどの現預金があるのなら、株主に還元するべき。」と指摘。

これに対してファナック側は株主還元策を発表、同月19日にはこの発表を受けて増配が

期待できるとして株価が急騰、上場来高値をつけた。

参考: WEDGE Infinity(ウェッジ)

 

IHI(2014年)

土地の有効活用

IHIが物件を多く保有する豊洲には2020年に開かれる東京五輪の選手村が建設される

可能性がある。

IHIが豊洲に保有する不動産価値が3500億円(約34億ドル)近くに上ると試算。

同社の「時価総額の50%以上を占める」とし、経営陣に有効活用を求めた。

2015年10月には保有株の売却が報じられた。

参考: WSJ

 

ソフトバンク(2013年)

純投資

2013年11月、10億ドル(約1010億円)を超える投資によりソフトバンク株を取得。

経営改善を求めない純投資とみられていた。

2015年10月には保有株の売却が報じられた。

参考:日本経済新聞

 

ソニー(2013年)

映画・娯楽部門の分離

テレビ部門が不調だったことから、将来的に成長が期待できる映画・娯楽部門

切り離して企業価値を上げるよう要求。

ソニー経営陣はこの要求には応じていない。

サード・ポイントが最初に手掛けた日本株ソニーだった。

参考: WEDGE Infinity(ウェッジ)

事業分離は実現しなかったが、2014年には高値で売り抜けて、20%近いリターンを得た

ことを明らかにした。

参考:ライブドアニュース

 

まとめ

サード・ポイントの手法については、

「お人好しの日本企業を狙い撃ちにしている」という辛辣な見方がある一方、

「サード・ポイントは株式を買って株価をつり上げる単純なやり方ではなく、企業価値

が上がる方法を提案しており、ある意味で正論を主張している。」

との見方もあるようです。

スズキ、セブン&アイの今後の動向が気になるところです。